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唯一無二の世界を発信し続けているアーティスト・Coccoと『鉄男』『六月の蛇』の鬼才・塚本晋也監督。その強烈な個性を持つ2人が緊密に作り上げた映画『KOTOKO』がついに公開!
守るべき大事な相手がいる人に見てほしい…というその衝撃的な内容とは?塚本監督に映画の見どころをうかがいました。
鑑賞券のプレゼントもお見逃しなく!


今回の作品:『KOTOKO』

母親の本当の姿を描きたい

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―子育て中の女性に限らず、女性にとってはとても衝撃的な作品になっていますね。

塚本 具体的には子育てがテーマになっていますが、震災もあり、大事な人を守ることがより難しくなっている世の中だと思います。その中で、守るべき相手がいる人にエールを贈りたいという気持ちで作りました。エールにしてはドギツイ部分もあるんですが、明るく描くよりも、どっぷりと当事者の気持ちに浸って、共振しあうことが大事だと思い、ああいった形で描いています。

―ヒステリックになったり、時に暴力的になってしまったり…女性の中にある本質的な性質が、極端に描かれているという印象を受けました。

塚本 そうですね。ああいった面は、守るべき大事な相手がいる人には必ずあるものだと思います。だから、琴子はものすごくエキセントリックに描かれていますが、普通の人でも、子供を守るためにはあのぐらいになってしまう…ということを描きたかったんです。ですから、お子さんのいるお母さんはもちろん、守るべき大事な相手がいる人には是非 見ていただきたいです。

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―特に、子育てに悩んでらっしゃるお母さんには「自分だけじゃないんだ」と思えるような内容ですよね。

塚本 そうですね。テレビドラマなどで、母親は子供を抱いて優しい表情をしているというイメージが植えつけられています。もちろんそれは嘘ではなくて、むしろお母さんたちはあの状態になりたいんだと思うんです。でもその願望が崩れる瞬間はしょっちゅうある。そしてヒステリックになってしまう。そっちも本当の姿なのになあ、と思ってしまいます。両方が描かれているべきだと思いました。
その点でCoccoさんは典型的なお母さんを演じるのではなく、もっと核心に迫る感情を見せてくれる。本当の女性、母親の感情を目の当たりにさせてくれました。


ファンだからこそ形にできたCoccoさんの本当の感情

―映画初主演となるCoccoさんの演技の中で、印象深いエピソードはありますか?

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塚本 どのシーンも印象深いですね。というのも、どのシーンを切り取っても「琴子」なんです。脚本を作る段階から、違和感のあるところを言っていただいたんですが、例えば子供と別れるシーン。僕は悲しいシーンとして書いていましたが、Coccoさんは「自分だったらそこで泣かないで、明るい表現をする」っておっしゃるんですよ。それはほんとにそうだなって思って、やっていただく。本当にその役が典型的ではない役に変わる。そういう風に脚本の時点で、Coccoさんの本当の感情が、琴子に反映されているんです。
だからこそ、辛いシーンを撮るときは、こっちも辛くなってしまうこともありました。子供を落としてしまうシーンでは、Coccoさんは演技だからといっても、なかなか手が放せないんです。抱いている人形も、何度も何度も手を入れて可愛らしく、愛情をこめて作ってあるので、いつまで待っても放せない。そして放してしまった後は、本当に気持ちがガクッとなってしまい、戻るまでに時間がかかってしまいました。それだけ本物の感情を出しているので、完全なフィクション映画なのに、ドキュメンタリーのようだと感じられる方もいるようです。

―実際のCoccoさんのエピソードも盛り込まれているとか?

塚本 「ものが2つ見える」ということは、最初のインタビューでうかがったエピソードなんです。ものが2つに見えて、どちらが本物かわからず、追っていった先に悲劇があるか安心があるか、いつもハラハラしてしまう、と。それを映画の核となる部分に入れさせてもらいました。
最初は直接インタビューをさせていただいて、その後は、いろいろな言葉で、詩のようなときもあったり…。ですから、Coccoファンの僕がインスピレーションを働かせて、「こういう筋で違和感ありますか?」と聞いて、ある場合は手を入れて進めていきました。

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―全編を通じて、琴子の手作りの玩具や千羽鶴、電飾など可愛らしい、明るい要素が多く出てくることも印象的でした。そのような画作りについて意識をされた点は?

塚本 これもCoccoさんの世界なんです。Coccoさんが自分のおうちのものをそのまま持ってきてくれたので。そのほかいろいろゆかりのあるものを持ち込んで飾ってくれました。相当な注ぎ込み方をしていただけたのだと思います。住んでいる場所は絶対に可愛らしくするほうが自然ですし、Coccoさんの可愛らしい美意識の行き届いた世界になりました。

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